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食事

前立腺がんを予防するには普段の食生活から気をつけることが大切。どんな食事が良いのかをまとめました。

栄養のバランスがとれた食事が重要

「健康のためには栄養のバランスをとることが大切」。当たり前のようですが、がんの予防にもこれが非常に重要です。

特に、前立腺がんの場合は、動物性脂肪酸との関連が研究でわかっているので、肉や乳製品などで、動物性脂肪酸を摂取しすぎないことが重要です。

がんだけでなく肥満や生活習慣病のリスクを軽減することもできます。

また、保存料や着色料の中には化学物質が含まれていて、これががんの発症に関与する場合もあります。なるべく無添加のものを食事メニューに取り入れましょう。

前立腺がんを防ぐ食事のポイント

それでは、具体的に前立腺がんを予防するための食事のポイントとして、「おすすめの食事」と「避けたほうが良い食事」の2つに分けてご紹介します。

1)減塩する

塩分は1日あたり男性であれば8g、女性であれば7gにとどめましょう。塩分を抑えることで、がんはもちろん、高血圧や循環器系の疾病リスクを抑えることもできます。

2)野菜と果物をとる

野菜や果物にはビタミンや食物繊維などの栄養素がたっぷり。特に食道がんや胃がんなど、消化器系のがんのリスクを軽減することがわかっています。

おすすめの食事

いも・キノコ・海藻類

国立がん研究センターにおける研究で、いも・キノコ・海藻類に多く含まれる食物繊維に、前立腺がんの予防効果があることが確認されています。食物繊維には、前立腺がんのリスク要因となるIGF-1や男性ホルモンを抑制する働きがあるからでは、と推測されています。 いも・キノコ・海藻に限らず、食物繊維を多く含む食事を心がけましょう。

トマト

日本よりも多くのトマトを食べる欧米において、調理したトマトの摂取量と前立腺がんの予防効果との関連性が、多く報告されています。 なお、トマト以外の野菜・果物の摂取量と前立腺がんとの関連性は、ほとんど確認されていません。 ただし、一般的な野菜・果物は胃がんや食道がんなどの予防にも貢献するため、積極的に摂るようにしましょう。

大豆食品

国立がん研究センターの研究により、大豆食品などに多く含まれるイソフラボンに、限局性前立腺がんの予防効果があることが分かりました。イソフラボンには女性ホルモンに似た働きがあるため、前立腺がんを促進する男性ホルモンの量を相対的に減少させたのではないか、と考えられています。 ただし同研究では、大豆食品による進行性前立腺がんとの明確な関係が確認できませんでした。大豆食品と前立腺がん全般の、より詳細な研究が待たれます。

緑茶

国立がん研究センターの研究により、緑茶をよく飲む人は進行性前立腺がんのリスクが大幅に低下することが分かりました。緑茶に含まれるカテキンがアポトーシス(がん細胞の自殺)を促したり、男性ホルモンの分泌を抑制したりするためではないか、と考えられています。 なお、同研究によると、緑茶による限局性前立腺がんのリスク低下は確認できませんでした。

避けたほうが良い食事

乳製品

チーズやヨーグルトなどの乳製品を多く摂取することが、前立腺がんのリスク要因になることは、かねてから欧米で指摘されてきました。日本の国立がん研究センターの研究でも、同様の結果が得られています。

1995年と1998年に、45~74歳までの男性約4万3千人を乳製品の摂取量で4つのグループに分けて調査しました。2004年まで追跡調査したところ、摂取量が一番多いグループの罹患リスクは、一番少ないグループよりも1.5~1.6倍高かったとのこと。この結果から、乳製品に多く含まれる飽和脂肪酸やカルシウムが、前立腺がんのリスク要因になっているのではないかと考えられています。

ただし乳製品には大腸がんの予防効果が報告されているなど、健康面への貢献も大きい食品。極端に摂取を控えるのではなく、総合的な視点から摂取量を考えるべきでしょう。

動物性食品

乳製品だけでなく、肉や卵、動物性油脂なども飽和脂肪酸を多く含んでいます。大量に摂取すると、前立腺がんの発生率が増加するとのこと。ただ、がんの発生率を上げる原因が飽和脂肪酸だけなのか、それとも赤身肉や脂肪が多く含まれている食事を摂取することによるものなのか、まだはっきりとした結論は出ていないようです。もし動物性食品を摂取する場合は、できるだけ少量に抑えるようにしましょう。

高温加熱で調理したもの

シアトルのフレッド・ハッチンソンがん研究所の研究によって、フライドポテトやフライドチキン・魚のフライ・ドーナツといった非常に高温の油で揚げられた食べ物や高温加熱により一気に焼いた肉などが、緩やかに加熱したものよりも前立腺がんのリスク要因になると報告されました。

食べた回数が月に1回未満の男性は30~37%、週に1回以上の男性は30~41%とリスクが上昇。さらに、高温調理された食品を多く摂取することで、より悪性度の高い前立腺がんの発症リスクに関係するとも言われているようです。

揚げ物に関しては、調理の過程で発がん性化合物を形成してしまうことも。特に、120度以上の高温で調理したものには、前立腺がんの原因となってしまう「アクリルアミド」や、がんを発症させる要因を作ってしまう「終末糖化産物」といった物質が発生してしまうので、揚げ物を極力控えるか、もしくは週1回程度に抑えるようにしてください。

塩蔵食品(漬物など)

国立がん研究センターの研究により、漬物や干物などの塩蔵食品が、前立腺がんを含む多くのがんの発症リスクに関与していることが分かりました。ただし、一般的な塩分(ナトリウム)とがんとの関連性は、確認されていません。 心筋梗塞や脳卒中の予防のためにも、塩蔵食品および塩分の摂取量は、控えめにしたほうが良いでしょう。

欧米食

国立がん研究センターでは、被験者を「健康食」「欧米食」「伝統食(日本)」の3つのグループに分け、それぞれの食事習慣と前立腺がんとの関連について詳細に調べました。

  • 健康食…野菜・果物・いも類・大豆食品・キノコ類・海藻類など
  • 欧米食…加工肉・肉類・パン・ジュース・コーヒー・マヨネーズなど
  • 伝統食(日本)…ご飯・味噌汁・漬物・干物・貝類・果物・日本酒など

これら3つの食事習慣のうち、前立腺がんの発症リスクがもっとも低かったのが「健康食」。次いで、「伝統食(日本)」「欧米食」と続きます。もともと日本人における前立腺がんの罹患率は低めでしたが、昨今、前立腺がんの患者が増加している背景には、食の欧米化の影響が関係している可能性があると言えます。

なぜなら、この3つの食事習慣のうち「欧米食」を食べていたグループでは、全前立腺がんのリスクが1.22倍、限局性前立腺がんは1.24倍、進行前立腺がんでは1.23倍という結果になったためです。

欧米食以外の2つの食事習慣では、健康食だと全前立腺がんと限局性前立腺がんのリスクが低く、伝統食は前立腺がんのリスクと関連性が認められませんでした。これらの結果からも分かるように、ファストフードや加工食品などの欧米食が関与している可能性が高いのです。

仕事が忙しく、必然的に外食が多くなってしまうという方もいると思いますが、できるだけ健康食や伝統食に近い食事にするよう心掛けましょう。少しでも食に対する意識を変えることができれば、前立腺がんの予防に繋がります。

3)熱い飲み物や食べ物は冷ましてから

熱い食べ物、飲み物を摂取することで、食道の炎症を引き起こしたり、食道がんになったりするリスクが高まります。食道の粘膜はデリケートなので、なるべく刺激を与えないように、熱い飲み物や食べ物は冷ましてから摂取しましょう。

足りない栄養素はサプリメントで補おう

とはいえ、仕事で忙しかったり、付き合いが多かったりして、外食続きや野菜がとれないという方も少なくないかと思います。

そこで、栄養素を補給して免疫力を高める手軽な方法として、サプリメントを摂取するのもいいでしょう。

「食事を改善したいけど難しい」という方はぜひこちらのページを御覧ください。

サプリメントの前立腺がんへの予防について詳しく

参照元:(PDF)昭和学士会誌 第76巻 第2号 前立腺癌-最新の診断から治療について-

参照元:(PDF)がんを防ぐための新12か条

参照元:国立がん研究センター「野菜・果物と前立腺がんとの関連について」

参照元:国立がん研究センター「食事パターンと前立腺がん罹患との関連」

参照元:国立がん研究センター「大豆製品・イソフラボン摂取量と前立腺がんとの関連について」

参照元:国立がん研究センター「乳製品、飽和脂肪酸、カルシウム摂取量と前立腺がんとの関連について」

参照元:国立がん研究センター「緑茶飲用と前立腺がんとの関連について」

参照元:国立がん研究センター「食物繊維摂取と前立腺がんとの関連」

参照元:国立がん研究センター「塩分・塩蔵食品と、がん・循環器疾患の関連について」