前立腺がんを改善したい人のための情報サイト
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前立腺がんの手術(外科治療)がどのような方法で行われるのかについて解説しています。
前立腺がんの手術は、周囲の臓器とあわせて前立腺をすべて摘出するのが基本です。
医療機関や医師の方針で異なる場合がありますが、がん手術の概要はだいたい決まっています。近年はほとんどの医療機関が、手術前検査や手術の説明を外来で実施。そのため、手術の1~2日前に入院するのが一般的です。ここからは手術までの流れについて解説していきます。
入院すると、消灯時間・面会時間・食事時間などの院内ルールについて説明を受けます。その後、麻酔医が手術時の麻酔に関する説明を実施。麻酔を受けるための問診や検査を受けます。
陰部の除毛・剃毛は手術前日が主流です。除毛の場合は、クリームを使用する医療機関もあります。除毛や剃毛をするのは、手術後の細菌感染を予防するのが理由。しかし最近では、必要な箇所だけしかカットしない医療機関も存在します。
手術当日は、朝から準備がスタート。朝食は食べられず、水を飲むこともできません。栄養は点滴を受けて摂取。着替えのときに、メガネ・コンタクトレンズ・時計・アクセサリー・入れ歯などはすべて外します。そして病室から手術室に向かう前に鎮静剤を注入。すこしボーっとした状態になります。
麻酔がしっかりかかったら手術が開始。がん組織やその周辺の臓器、リンパ節を取り除きます。そして臓器を取り除くことで損なわれた機能を再建し、傷を縫合。手術が終わるころに、麻酔から覚めていきます。
手術後は数週間入院して、安静に過ごします。数週間後、傷の経過が良くなれば退院。もとの生活に戻ることができます。
前立腺がんの対象になるのは、前立腺以外に転移していない限局性がんの方です。
前立腺がんの症状は、「TMN分類」というもので分類します。TNMは腫瘍(tumor)、リンパ節(nodes)、転移(metastasis)をあらわす頭文字のことです。
Tは「前立腺にがんがとどまっている」という限局性がん、Nは「リンパに転移をしている」という局所浸潤(きょくしょしんじゅん)がんを意味します。Mは「前立腺を離れた臓器に転移している(遠隔転移)」という進行がんのことです。
前立腺にとどまる限局性がんは、T1~T2に分類されます。前立腺がんは、T1とT2が外科治療の対象です。
T1はがん細胞のサイズが非常に小さいのが特徴。画像検査で見つけるのが難しく、膀胱がんや前立腺肥大症によって偶然発見される場合もあります。T2は限局性がんのこと。前立腺の左右片側にあるがんをT2a、左右両方にあるがんをT2bと言います。
前立腺がんが別の箇所に転移してしまうと、外科治療で改善を目指すのが難しくなります。転移してしまった場合は、「ホルモン療法か抗がん剤治療を行なうのが一般的です。
ホルモン療法は、前立腺がんの細胞を刺激する「テストステロン」という男性ホルモンを遮断する治療法。薬を投与したり、精巣を摘除したりします。
抗がん剤治療は、がんの増殖を抑えたり、がん細胞を破壊したりする薬を使った治療法です。
これらの治療法は吐き気・嘔吐・下痢・脱毛・疲労感といった副作用が出やすく、体への負担もかなり高くなります。
前立腺全摘除術は、恥骨後式前立腺全摘除術・会陰式前立腺全摘除術がもっとも主流の治療法です。2種類の治療法について詳しく説明しています。
通称RRPと呼ばれている「恥骨後式前立腺全摘除術」。下腹部を15センチほど縦に切開し、前立腺と精のう(射精管に続く前立腺の後側にある器官)を一緒に摘出。摘出後は、尿道と膀胱の出口をぴったり縫い合わせる手術方法です。
前立腺がんの外科手術でもっとも一般的な治療法のひとつ。恥骨後式前立腺全摘除術は、前立腺がんの摘出だけでなく、骨盤内のリンパ節摘出も行ないます。がんが前立腺に転移していないかどうかを検査するのが目的です。
手術の対象になるのは、T2までの限局性がんの方まで。手術は全身麻酔を行ない4~5時間ほどかかり、入院期間は10~14日ほど要します。
肛門の周辺を逆U字型で切開し、会陰(性器から肛門までの間、その周辺)から前立腺がんにアプローチする治療法を、「会陰式前立腺全摘除術」と言います。会陰式前立腺全摘除術は恥骨後式前立腺全摘除術よりも切開する傷が小さく済むのが特徴。恥骨後式と比較して、排尿に関する副作用のリスクが少ないというメリットがあります。
一方で手術の視界が狭いため、高いスキルを持つ医師でないと難しい手術法です。手術時間や全身麻酔で3~5時間、入院期間は約14日となります。
腹部に5~6ヶ所の穴をあけて、そこから体内に内視鏡を入れて手術をする方法を「腹腔鏡下全摘除術」と言います。
腹腔鏡下全摘除術は、体内に入れた内視鏡で撮った映像を見ながら手術をするのが特徴。お腹を膨らませるために、炭酸ガスを注入して、内視鏡や鉗子(臓器や組織などを挟むのに使用する外科手術用具の一種)を入れます。
内視鏡を使用することで、細かい部分をハッキリ見ることが可能。小さながんを見つける確率が高くなります。拡大しているぶん視野が限られるため、医師の高いスキルが必要です。
小さな穴をあけるだけなので、傷跡が小さいのが腹腔鏡下全摘除術の魅力。傷跡が小さい分、回復も早くなります。入院期間は約1週間と短く、すぐに普段の生活に戻ることが可能です。
参照元:治療 | 四国がんセンター