前立腺がんを改善したい人のための情報サイト
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フォーカルセラピーがどのような治療方法なのかについて解説しています。
症状の経過をじっくり観察しながら治療を最低限に抑える「監視療法」と、前立腺の摘出をする「手術」やX線でがん細胞を小さくする「放射線治療」の中間にあたる治療法がフォーカルセラピーです。
手術や放射線のように前立腺全体に治療をするのではなく、病巣の一部若しくは半分を治療する治療法になります。
フォーカルセラピーを行なう理由前立腺全体を治療してしまうと、精子の量が減少するというデメリットがあります。できるだけ正常な組織を残すことで、性機能の低下を防ぐことが可能に。その中で前立腺がんを治療することがフォーカルセラピーを行なう目的です。
すべての患者にできるわけではないフォーカルセラピーは、限られた箇所にある「限局性がん」であることが必須。範囲が広い場合や前立腺から転移した場合は、受けられない可能性が高いです。フォーカルセラピーの前には、MRI検査やマッピングバイオプシーという検査を受けて、前立腺内にあるがんの位置を調べる必要があります。
HIFUは、超音波を焦点に集めて発生させた約80~100度の熱を用いて、がんを破壊する治療法です。肛門から直腸にプロープ(治療に使用する針)を挿入し、前立腺に超音波を照射します。熱が発生するのは超音波が収束された箇所だけなので、他の組織へのダメージはほとんどありません。
安全性の高い治療法ここ数年間でHIFUの機器は大きく進歩が進み、治療実績もかなり向上しています。
超音波の照射パワーはコンピュータが正確にコントロール。治療の様子も映像画面でチェックしながら進めるので、安全性の高い治療法だと言えます。
入院期間が短いHIFUの治療は、治療後の入院期間が短いのも特徴。短くて2~3日ほどで退院可能です。また病院によっては日帰りできるところもあります。
治療費は自己負担HIFUの治療は健康保険の対象外なので、費用はすべて自己負担になります。治療費用の相場は80~110万円です。
日本ではこれからが主流アメリカでは大きな実績を上げているHIFUの治療法。日本では最近増えつつありますが、まだ手術や放射線治療と比べると主流ではありません。
前立腺がん治療を対応しているクリニック「たかの橋中央病院(広島県広島市中区)」では、2003年~2015年の12年間で230例の前立腺がんにHIFUを用いたフォーカルセラピーを実施。治療対象は限局性の前立腺がんで、かつ前立腺以外に転移していないものになります。
手術後12カ月以上経過した211例を調べてみると、79%は治療効果が良好という結果が出ました。
がんのレベルを低リスク・中リスク・高リスクで分けてみてみると、低リスクで98%・中リスクで80%・高リスクで60%という数値になっています。
副作用外科手術・放射線・薬物治療などと比較すると、副作用の発生率は少なめ。その中でも多いのが、おしっこが出なくなる・出にくくなる「排尿困難」という症状です。副作用全体で、排尿困難が約20~25%を占めています。
次に続くのが、「尿失禁・頻尿」で5~10%、精巣上体に炎症が起こる「精巣上体炎」や尿道から膀胱内に細菌が入る「尿路感染」が約3~5%。
副作用のほとんどが約1~2ヶ月で治まり、3ヶ月以降に起こることは稀だそうです。
凍結療法は、肛門と外陰部との間にある会陰(えいん)という部分に金属製のカルーテルを挿入し、その先端から超低温の高圧ガスを噴出。がん細胞を凍らせて破壊させます。 凍結によるがん細胞破壊の種類
凍結されたがん細胞が破壊されるには、「細胞外結晶形成」「細胞内結晶形成」「血流の停止」という3つの種類があります。
凍結療法は古代エジプト時代から行なわれていることが分かっています。さらに中世の時代には、ナポレオンの外科医は足や手を切断する際に氷で凍結させて行なっていたそうです。このように、「凍結療法は良い」ということは昔から分かっていました。
治療をしっかりモニタリングできない近代に入ってからも引きつづき凍結治療は進歩しました。1850年、氷と食塩水を血液に流して、子宮頸がんや乳がんが改善。1961年は液体窒素を使用できる凍結手術器が開発されています。しかし1970年代に入り、凍結治療はいったん衰退の道へ。理由は治療をモニタリングできず、治療の詳細を把握できなかったためです。
日本ではまだ始まったばかり凍結療法における前立腺がんは、アメリカでとても多くの実績を上げています。日本では2011年に腎がんでは保険適用に。前立腺がんにおいては、2015年から慈恵医大病院の臨床研究で凍結療法がスタートしたばかりです。