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化学療法

化学療法とは

化学療法とは、抗がん剤を注射や点滴、内服してがん細胞の破壊を図る治療法です。全身のがん細胞を対象に利用でき、とくに転移して内分泌療法の効果が薄れてきたがんに対して行われます。

化学療法の特徴

化学療法は全身のどこにがん細胞があっても攻撃できるのが特徴です。抗がん剤は現在だけで約100種類あり、飲み薬と点滴、注射による治療法とさまざま。特定の臓器のみに抗がん剤の効果を集中させるために、動脈にカテーテルを通す方法を使う場合もあります。

点滴や注射などによる治療の場合は、薬を投薬する日・投薬しない日を1クール(1~2週間)で区切って数クール実施。薬を投与する量やクール数は抗がん剤の種類によって変わってきます。

化学療法が選ばれる状態

内分泌療法で効果が薄れてきたときに提案されることがほとんどですが、がん細胞によっては化学療法が治療の第一選択として提案されることもあるようです。治療のほとんどが薬単体だけでなく、複数の薬剤を組み合わされて投与されます。

化学療法と内分泌療法の違い

内分泌療法(ホルモン療法)は抗ホルモン剤を投与する治療法です。対して化学療法は薬を使ってがんを治療していきます。

前立腺がんの場合、男性ホルモンを抑えるために抗男性ホルモン剤や女性ホルモン剤などを投与してがんを改善へと向かわせます。

ホルモン療法は投与を始めた時期に有効だと判断されても、投与の期間を過ぎると効果がなくなってくることが10%ほどあるのだそうです。その場合に化学療法に切り替えられます。前立腺がんを治療している人のなかにはホルモン療法と化学療法を併用している人もいるそうです。

化学療法で使われる薬剤

投薬される薬剤は、がんの種類や進行度などによって変わってきます。薬剤は大きく分けて6つに分けられます。

  • 代謝拮抗剤
    がん細胞を増殖抑制する
  • アルキル化剤
    がん細胞のDNAを破壊する
  • 抗がん性抗生物質
    がん細胞膜を破壊、またはがんのDNA合成を抑制する
  • 微小管作用薬
    細胞分裂に欠かせない微小管(びしょうかん)の働きを止める
  • 白金製剤
    DNAと結合してがん細胞の分裂を抑える
  • トポイソメラーゼ阻害剤
    DNAを合成する酵素(トポイソメラーゼ)の働きを抑える

化学療法のメリット

複数の抗がん剤を併用して治療できる

化学療法は複数の抗がん剤を併用するのが一般的です。薬剤を併用すると強い副作用の抑制が期待できるだけでなく、がんに対してさまざまな薬の作用が試せます。放射線治療と組み合わせられるのもメリットのひとつです。

再発を防ぐ確率が高くなる

手術や放射線治療などでは、検査で確認できないサイズのがん細胞が残ってしまう場合があります。これによって引き起こされてしまうのが再発です。がんの手術後に抗がん剤を併用すると、再発のリスク抑制が期待できます。

全身のがんへの効果が期待できる

手術や放射線治療などは特定の部位にあるがんにしか効果を発揮しませんが、抗がん剤治療は全身にあるがんに効果が期待できます。薬剤が血液に乗って全身に運ばれるので、原発巣だけでなく転移したがんにも効果が期待できるのです。

化学療法のデメリット

化学療法だけでは不十分

前立腺がんをはじめ全身のがんに効果を発揮する化学療法ですが、この治療法だけではがんを完全には治せません。がんの増殖を食い止める、腫瘍を小さくするといった効果は期待できますが、がんを除去するためには手術や放射線治療などが必要になります。

副作用が強い場合がある

薬剤の副作用が強く出てきてしまう場合があります。がん細胞だけでなく正常な細胞に対しても攻撃してしまうのが理由の一つです。現在投薬されている薬剤は以前に比べてかなり負担が軽減されるものばかりになっていますが、副作用はまだまだ出ています。

化学療法の副作用

アレルギー反応が起きる

抗がん剤を投与した直後から皮膚に発疹やかゆみなどのアレルギー反応が出ることがあります。重い症状の場合は血圧低下、不整脈、呼吸困難を起こす場合も。

アレルギー反応は頻繁には起こりませんが、初めて薬を投与するときに起こりやすいといわれています。アレルギー反応が出てきたと感じたら、すぐに医師や看護師などに知らせなければなりません。

骨髄抑制が起きる

化学療法によって骨髄の機能が影響を受けると、血液を作る機能に障害が生じ、白血球や赤血球などが減少します。これが骨髄抑制です。化学療法を受けてもすぐには出てこない症状で、投与から1~2週間後に影響が出てきます。

好中球が減少する

白血球のなかにある好中球は感染を防ぐ働きを持っています。これが骨髄抑制によって減少すると、細菌やカビ(真菌)などに感染しやすい状態に。そうなると口内や肺、腸管などで感染症を起こしやすくなってしまうのです。

咳や痰が出る、皮膚が腫れるといった目立った症状がない状態の感染症が出る場合もあります。好中球の減少が見られた場合は感染予防の徹底が大事です。好中球の数によっては入院治療が必要な場合もあります。

貧血が起こる

抗がん剤は骨髄にある造血幹細胞の機能に障害をもたらし、赤血球の減少や消化管からの出血などを引き起こす場合があります。すると起こって倦怠感、めまい、息切れといった貧血の症状が現れてしまうのです。出血が貧血の原因であれば止血を行ない、出血が多い場合は輸血をすることもあります。

化学療法後の経過は

化学療法を開始してどれくらいの期間効果を保てるかは一人ひとり異なってきます。そして治療が終わっても、再発を防ぐために対策しなければなりません。栄養バランスの整った食事や適度な運動など、化学療法以外に自分でできる再発防止策を打つことが大事です。

こちらでは、自分でもできる前立腺がんの予防法をまとめています。予防対策の方法として、ぜひ知識として取り入れて、活用してください。

参照元:国立がん研究センター がん情報サービス 前立腺がん(ぜんりつせんがん)

参照元:国立がん研究センター がん情報サービス 薬物療法(化学療法)

参照元:国立がん研究センター がん情報サービス 薬物療法(抗がん剤治療)のことを知る

参照元:アステラス製薬 前立腺がん

参照元:What’s?前立腺がん その他の治療法

参照元:がんナビ その他の治療法