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シイタケ菌糸体

がん治療に効果があるとして注目されているシイタケ菌糸体。その特徴や臨床結果、副作用の有無などをご紹介します。

シイタケ菌糸体の概要

シイタケは皆さん日頃から食べているかと思いますので説明は不要かと思いますが、シイタケ菌糸体は、普段私たちが食べている実ではなく、シイタケの根本の部分です。

1985年にシイタケから抽出された「レンチナン」という成分が「免疫力を高めてがんを抑える」医薬品として厚生労働省から認可されています。

シイタケ菌糸体にはこの「レンチナン」が豊富に含まれていて、他にも免疫力を向上させると言われている「ベータグルカン」、血糖値を下げる効果があるとされている「アルファグルカン」、「キシラン類」、「シリンガ酸」、「バニリン酸」といった成分が含まれています。

シイタケ菌糸体の臨床試験・安全性

シイタケ菌糸体ではさまざまな臨床報告がされていて、乳がんや胃がん、大腸がん、食道がんなどの患者が抗がん剤と併用した場合に、QOL(クオリティー・オブ・ライフ:生活満足度)が向上し、免疫の値も上昇したことが報告されています。

がんの再発予防観察の段階がある患者に対しても、同様に免疫の値が上昇したことが確認されています。

日本で10件以上のシイタケ菌糸体に関する研究論文が出されており、がん治療で注目されている有効成分の1つです。

シイタケ菌糸体関連の臨床研究報告

乳がん患者への補助化学療法との併用によるQOLおよび免疫機能の改善

乳がんの化学療法は、患者のQOL(生活の質)や免疫機能の低下をまねくことが知られています。JCHO下関医療センターの長島由紀子らは化学療法による副作用を緩和する成分として、シイタケの菌糸体(LEM:栄養が集まっているところ)から抽出した物質を用いて試験を行いました。

試験はアントラサイクリンを使った補助化学療法を受けるがん治療後の患者47名を対象に実施。患者を2グループに分け、プラセボ(偽薬)とLEMの錠剤をランダムに割り振っています。錠剤は補助化学療法の1段階目、2段階目で毎日摂取してもらい、QOLと免疫機能の検査を行いました。

試験の結果、プラセボを摂取したグループでは化学療法時のQOLスコアが基準値より低くなりましたが、LEM錠剤を与えたグループではQOLスコアは低下しませんでした。このことから、LEMには化学療法の際に起こる生活の質低下を防ぐ効果が期待できます。

また、LEM錠剤を摂取したグループではプラセボを摂取したグループと比べて、血液中のCD4+細胞において制御性の免疫細胞を増やしにくくすることが報告されています。そのため、正常な免疫反応を維持することが可能です。

結果から、シイタケ菌糸体(LEM)には、化学療法を受けている患者のQOLと免疫機能を維持する働きが示唆されています。

免疫療法受療中のがん患者のQOLおよび免疫機能の改善

シイタケ菌糸体(LEM)の抽出物と化学療法の併用で、がん患者のQOL(生活の質)や免疫機能を改善することがわかっています。しかし免疫療法を受けている患者への効果は明らかになっていないため、この試験では免疫療法を受けている患者に対してQOLおよび免疫機能におけるLEMの効果を試験しました。

試験は東京女子医科大学関連施設のビオセラクリニックで免疫療法を受けているがん患者10名を対象に行なっています。

対象者には細胞をもとにしたがんワクチン療法、または免疫細胞を活性化させるCD3活性化Tリンパ球(CAT)療法を実施。最初の4週間は免疫治療だけを行い、その後4週間はLEM(1800mg/d)を併用しています。加えて試験前・4週間後・8週間後にそれぞれQOL調査票を記入させ、免疫機能の指標となる物質を測定しました。

試験後、免疫療法を行った初めの4週間はQOLスコアが悪化しましたが、LEMを併用した4週間ではQOLスコアが改善されたことがわかっています。また、末梢血管内でつくられたインターフェロン量は、免疫療法だけの期間よりもLEMを併用した期間のほうが増加したことが示されました。

研究の結果、LEMと免疫療法を併用することで、がん患者のQOLおよび免疫機能を維持する可能性が明らかになっています。

乳がん術後ホルモン療法実施者の免疫力・QOL回復

シイタケ菌糸体から抽出された物質は、現在がん患者の化学療法で起こる副作用を軽減するための経口生物学的応答調節剤(BRM)として使われています。ただしがん手術後の補助ホルモン療法を受けている患者では、LEMが有効に働くかどうかわかっていません。そのため、シイタケ菌糸体抽出物(LEM)の投与を補助ホルモン療法対象者に行い、QOLと免疫機能への影響を調べました。

試験では20名の補助ホルモン療法を受けている患者に対し、4週間の単独ホルモン療法、8週間のLEM併用ホルモン療法を実施しています。試験期間中はQOLスコアと腕や足などの末梢血液中での免疫反応物質生産量を測定しました。

最初の4週間までQOLや免疫機能に変化がありませんでした。しかし、その後のLEMとホルモン療法を併用した8週間はQOLスコアと免疫機能を正常化する物質の生産量の改善が認められています。他に副作用が確認されていないため、LEMはQOLと免疫機能の維持に役立つと考えられています。

研究の結果から、LEMとがん手術後の補助ホルモン療法を併用すると、患者のQOL(生活の質)や免疫機能を向上させられることがわかりました。

副作用の報告有無

シイタケ菌糸体の副作用については報告がありません。

効果がなかった報告有無

シイタケ菌糸体は効果がなかったという報告はありません。

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前立腺がんとその他がん対策に用いられる成分を確認

参照元:シイタケ菌糸体の効果・副作用の研究成果 | 癌・機能性成分の比較情報ガイド

参照元:制御性T細胞の新しい免疫抑制メカニズム | 理化学研究所