前立腺がんを改善したい人のための情報サイト
前立腺がんを改善したい人のための情報サイト
リコピンは、真っ赤な野菜・トマトに含まれる赤い色素のこと。トマトに多く含まれているイメージの強いリコピンですが、スイカやピンクグレープフルーツ、柿などにも含まれています。
強い抗酸化作用を持つカロテノイドの一種であるリコピン。抗酸化作用はビタミンEの100倍以上と極めて高く、過剰に発生した活性酵素が原因で発症するがんをはじめ、脳卒中、心臓病などの生活習慣病の予防に繋がる栄養成分であると考えられています。
リコピンは生で食べるよりも、トマトソースにする、オリーブオイルで炒めるなど熱を加えることで効率的に摂取できます。1日に必要なリコピンは15mg以上。生のトマトの場合はLサイズ2個分、トマトケチャップなら大さじ4杯強にあたる量です。熱に強い性質を持つため、多彩な料理アレンジが可能な成分ではありますが、トマトの味で日々の食事がワンパターンになってしまうと飽きて続かない可能性もあります。食事で不足した分は、野菜ジュースやサプリメントで補うのも1つの方法です。
抗酸化作用が高いリコピンは、前立腺がんをはじめ、肺がんや乳がんなど様々ながんへの効果があると考えられており、多くの基礎研究・動物試験が行われています。多くの研究では前立腺がんリスクの低下への関連性を認められていますが、米国の公的機関ではサプリメント成分の効果を認めていません。前立腺がんとの関連性は30年以上研究が続けられていますが、ここでは主要な研究結果についてまとめました。
2004年にアメリカ・デトロイトのカルマノス・ガン研究所内科・腫瘍学科は、外科手術・放射線治療でも改善が難しい前立腺がんの進行をリコピンが抑制すると発表しました。
研究の対象となったのは、前立腺がんを再発した患者70人。2つのグループにわけ、37人のグループには主成分であるリコピンを15mg含むサプリメントを投与し、もう一方のグループには、同じ量のリコピンに加えてイソフラボンを40mg含むサプリメントを投与しました。6ヶ月の投与期間を経て、2つのグループで前立腺がんの進行を判断する指標となるPSA(前立腺特異抗原)の値を比較。すると、イソフラボンも併せて摂取したグループよりも、リコピンだけのサプリメントを摂取したグループの方が、前立腺がんの進行をより優位に抑制できることがわかりました。
70人の対象者の中には、内分泌療法では効果が見込めない患者も25人いたため、研究チームはその患者だけの結果も分析。結果は同じように、リコピンを主成分とするサプリメントを摂取すること、前立腺がんの抑制を抑えられたことがわかりました。つまりリコピンは、外科手術・放射線治療・内分泌治療などさまざまな治療方法での効果が期待できない患者にとっての有効な治療法であると言えます。
カルマノス・ガン研究所内科・腫瘍学科では、リコピンの前立腺がんへの予防効果を調べるために、初期の前立腺がん患者26人を対象にした臨床研究も実施。
1日30mgのリコピンを含むサプリメントを3週間摂取したグループと、プラセボを摂取したグループで前立腺がんの進行を比較。プラゼボを投与されたグループの11人はがんになる前の上皮内腫瘍の広がりが全員に確認できましたが、リコピンを投与されたグループでは、15人中5人は腫瘍が広がらず、前立腺がんの進行を抑制できました。ただしこの臨床研究で使用されたサプリメントは、リコピンのほかに複数のカロテノイド類を含んでいました。
1995年に行われた6年間のコホート研究(現在発症していない人を対象とした追跡調査)では、リコピンの摂取によって前立腺がんのリスクが21%低下することがわかっています。調査を開始したのは、1986年。前立腺がんと診断されなかった男性47,894人を対象に、1年間の食事に関するデータを収集し、88年・90年・92年の2年ごとに調査票を全員に送って調査を進めました。
対象者のうち、812人が6年の間に前立腺がんを発症。食事摂取の内容を調べた結果、リコピン摂取が高い場合は前立腺がんのリスクを低下させたと関連性が認められましたが、他のカロテノイドであるβ-カロテン、α-カロテン、ルテインはリスク低下に関連していませんでした。
多くの臨床試験が実施されている中、ごく少数ではありますが副作用が確認されたケースもあります。現れた副作用は、下痢や吐き気、嘔吐などの消化管の症状。アンドロゲン非依存性の前立腺がんの男性46人を対象に、4ヶ月トマトペーストやジュースでリコピンを摂取してもらう臨床試験を実施した際に、複数の男性に消化器官の副作用が確認できました。この実験では、PSA(前立腺特異抗原)の値が低下した対象者は1人しかいなかったため、アンドロゲン非依存性の場合はリコピンの抑制効果の関連性は薄いと判断できるでしょう。
ただ、リコピンの摂取とともに副作用の消失が確認された研修も1件あり、副作用の心配はごくわずかであると考えられます。
リコピンは前立腺がんの抑制に繋がらないとする研究結果もあります。内閣府の食品安全委員会がHPで公開しているリコピンに関する情報では、「米国食品委薬品庁がサプリメントとしてのリコピンは前立腺がんのリスク低減に関して、信頼性のある根拠はない」と結論づけたと発表。しかし、トマトやトマトソースから摂取できるリコピンについては、前立腺がんとの関連について限定的に信頼できるデータもあるとしています。
過去30年以上にわたり、前立腺がんのとの関連性を期待され、多くの臨床試験が重ねられてきたリコピン。生で摂取するのは効率が悪いため、加工食品での摂取が推奨されています。またサプリメントで手軽に摂取する方法もありますが、米国食品委薬品庁が「リコピンのサプリメントが前立腺がんのリスク低減に関連するという信憑性のある根拠はない」と発表していることもあり、リコピン以外の成分にも目を向けてもいいかもしれません。ここでは、毒だし酵素やアガリクスなどのさまざまな健康成分と比較しています。ぜひ参考にしてみてください。
参照元:KAGOME トマトのリコピン、再発した前立腺癌の進行を抑制--米専門医が臨床データを公表
参照元:PDF 野菜と果物の色に宿るチカラ 野菜や果物に含まれるカロテノイドと疾病の予防,改善
参照元:がん情報サイト 前立腺がん、栄養、栄養補助食品(PDQ)
参照元:カロテノイド.info リコペン