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イソフラボン

イソフラボンの効果や臨床試験・安全性、副作用などをまとめました。

イソフラボンの概要

女性ホルモンの1種「エストロゲン」と似た構造を持つのが、大豆に多く含まれているイソフラボンです。肌の新陳代謝を促す美肌づくりやコレステロールの増加を防ぐなど幅広い効果を持つ栄養素で、健やかな体を保つために摂取したいサプリメント成分の1つ。また乳がん・前立腺がんの改善効果も期待されており、国内外で研究が進められています。

イソフラボンの臨床試験・安全性

国立がん研究センターやWHOが行なった研究では、大豆イソフラボンから摂取できる植物性エストロゲンによって前立腺がんリスクを下げられる、と報告されています。地域差に着目した疫学調査では、イソフラボンを普段の生活で摂取しやすい日本人の前立腺がんリスクが低いことを報告。特に、がんの進行を遅らせる予防の側面が強く、限局性前立腺がんに最も作用すると考えられています。反対に進行性前立腺がんへの関係は認められませんでした。

イソフラボンの局限性前立腺がんへの効果

大豆製品を摂取しているグループは
局限性前立腺がんのリスクが低下

国立がん研究センターが食生活と前立腺がんリスクとの関連性を調べた研究では、大豆製品を多く摂取している男性は前立腺がんリスクが低下することがわかりました。

対象となったのは、平成2年から5年にかけて、岩手県や沖縄県など10か所の保健所管内に住んでいた40~69歳の男性4万3,000人。調査を始めてから5年後に食生活に関するアンケート調査を実施し、イソフラボン摂取量ごとに4つのグループにわけて、追跡調査を行いました。

平成16年までに前立腺がんを発症した対象者は307人。前立腺がんリスクが摂取量に応じて変化するかを比べましたが、関連はないという結論になりました。

一方、前立腺がんを「限局がん」と「進行がん」に分けて比較すると、豆腐や納豆、油揚げなどの大豆製品の摂取量が多いほど限局性前立腺がんのリスクが低下するという結果に。なかでも61歳以上の男性に、リスク低下の傾向は大きく見られました。

日本人男性の前立腺がんの進行が
遅い理由はイソフラボン?

大豆製品によりイソフラボンを多く摂取したことで局限性前立腺がんのリスク低下につながったのは、日本人の前立腺がんが進行のゆるやかな「ラテントがん」であることが多いため。ラテントがんとは、死亡理由にならず剖検でしか見つけられないがんのこと。日本人は欧米人と比べると前立腺がんの発生率が低いにも関わらず、ラテントがんの検出数に差はありません。つまり、日本の男性はラテントがんから、「前立腺がん」として診断を受けるほどに進行した「臨床がん」に至るまでの期間が長いと考えられています。

イソフラボンは、がんを進行させるチロシンキナーゼの働きを阻害する効果が期待される成分。国立がん研究センターが行った臨床試験の結果からも、局限性前立腺がんのリスクはイソフラボンの摂取によって「ラテントがん」から「臨床がん」へ進行するのを遅らせる効果があると考えられます。毎日の食事を通して大豆製品を摂取している男性は、進行をゆるやかにする効果を自然と得られているのかもしれません。

地域別ごとに前立腺がんリスクの低下

2003年、WHO CARDIAC Studyでは日本を含む8か国10か所の地域で、24時間尿中イソフラボン量を測定。イソフラボン摂取量と前立腺がんでの死亡率の関係について研究しました。その結果、前立腺がんで亡くなる人の数が人口10万人に対して5人以下と最も低い結果になったのが、別府。続いて名護と、上位2か所の地域が日本になりました。日本人は、調査した尿中のイソフラボンがイギリスやロシアなど他地域の倍近い数値となり、イソフラボンを多く摂取していることが明らかに。一方、日本の半分程度しかイソフラボンを摂取していない諸外国人の前立腺がんでの死亡率は人口10万人に対して10〜20人近く、日本の3〜4倍高い結果になりました。よってイソフラボンの摂取量が多い地域では、前立腺がんのリスクが低下すると考えられます。

副作用の報告有無

厚労省の情報発信サイトに掲載されている情報でも、食品やサプリメントから摂取した際の副作用はほとんどないとされているイソフラボン。しかし、お腹のハリや便秘などの軽い胃腸障害を引き起こす可能性が指摘されています。

イソフラボンはエストロゲンと似た構造を持つため、体内に入った後は「エストロゲン受容体」に結合します。その際、有害な作用を起こすケースも。

食品安全委員会は、大豆イソフラボンの摂取について「1日70~75mg」の範囲内にコントロールすることを推奨しています。日本人の場合、豆腐や納豆など多くの大豆食品が標準的な食生活に根付いているため、バランスの良い食生活を送れているならば、意識的に摂取しなくても必要量は摂れている場合がほとんど。75mg以上を摂取する生活が長期にわたる場合、健康被害に結びつく可能性もあります。1日の摂取量は超えないように十分注意してください。

効果がなかった報告有無

国立がん研究センターの臨床試験では、イソフラボンの摂取によって局限性前立腺がんのリスクが低下したのに対して、進行性前立腺がんへの効果は認められませんでした。関連性には不明な点が多い状態ですが、進行がんはエストロゲン受容体βが少なくなることで、イソフラボンによる前立腺がんの予防作用が下がる可能性が指摘されています。また進行がんの場合、イソフラボンががんの進行を促進させてしまうのではないかと考える研究者も。限局性と進行性では性質が異なるため、イソフラボンの作用も異なるのではないかと考えられていますが、そう解釈するには難しい点が多いのが現状です。

他の成分との比較が重要

健康食品を選ぶ際は効果だけでなく、安全性に関する臨床試験・研究結果、体への影響を起こす副作用はないかなど、他の健康成分と比べることが大切です。このサイトでは、毒出し酵素やアガリクスなど、前立腺がんへの予防効果が期待できる成分を比較しています。合わせて読んでみてください。

前立腺がんとその他がん対策に用いられる成分を確認

参照元:大豆製品・イソフラボン摂取量と前立腺がんとの関連について

参照元:がん対策にも光が…広がるイソフラボンの効用

参照元:農林水産省 大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A

参照元:厚生労働省 大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&Aについて